熱帯の海上で発生する低気圧を総称して熱帯低気圧(tropical cyclone)と呼ぶ。日本では、最大風速が17m/s(63km/h)以上に発達した北太平洋西部の熱帯低気圧を「台風」といい、この風速に満たないものは「熱帯低気圧」と呼んでいる。国際的には「台風」のうちで、最大風速が33m/s(119km/h)以上に達したものをタイフーンといい、同じ強さの熱帯低気圧を、大西洋などではハリケーン(hurricane)、インド洋などではサイクロン(cyclone)と呼んでいる。台風のエネルギー源は水蒸気が凝結するときに放出される熱である。熱で温度が高くなって上昇する空気のあとをまわりから湿った空気が吹き込むという流れが大きな渦をつくり、台風になる。凝結熱で台風の中心は暖かく、熱帯は寒気がないので台風は前線を伴わない。大雨や暴風、高潮などにより大きな災害をもたらすが、水資源としての重要な役割もある。