熱帯低気圧以外の低気圧の総称。通常は中緯度や高緯度の前線を伴った移動性の低気圧を温帯低気圧と呼ぶ。低気圧の風上側では寒気が下降しながら南に移動し、風下側では暖気が上昇しながら北上している。重い寒気が下降して軽い暖気が上昇することにより位置エネルギーが運動エネルギーに変わる、すなわち温帯低気圧が発達する。また北の冷たい空気と南の暖かい空気をかき混ぜることにより温帯低気圧は地球の南北の温度差が拡大しすぎないよう調整する役割を果たしている。「前線上に発生した温帯低気圧が、西から東に進みながら発達するとともに、寒冷前線が温暖前線に追いついて閉塞前線ができたころに最盛期を迎えて、その後は消滅に向かう」という日頃テレビや新聞でもなじみの深い温帯低気圧の時間的経過は1920年代に明らかにされた。最近の研究によると閉塞前線ができてからも発達を続けたり、寒冷前線と温暖前線が次第に離れていって閉塞前線ができない場合もあるなど、温帯低気圧のライフサイクルにはいろいろあることが分かってきた。