山の風下側に吹く気温の高い乾燥した強い風。もともとはオーストリアやドイツのアルプスの谷間を吹きおりる高温で乾燥した強風がフェーンと呼ばれていた。湿った空気が山を上昇する時に雨を降らし、乾燥して山を降りてくると気温が上昇する。水蒸気が凝結して熱を放出すると、山を上昇する空気の温度の下がり方が小さくなる。その分だけ山を越えた空気が山を下りてふもとに達したときに気温が高くなる。しかし山の風上側で雨の降らなくても起こるフェーン現象もある。熱帯気団などの高温の空気が上空にあるとき、山の斜面に沿ってその暖かい空気が引きずり下ろされて山のふもとの気温が上昇する。いずれにしてもフェーン現象が発生すると風下側では気温が急上昇し、乾燥した強い風のため、大火事が発生しやすい。春や夏の記録的な高温もフェーン現象が関係していることが多い。