工場や車などから排出される硫黄酸化物、窒素酸化物などが降水に溶け込むことにより、降水が酸性を示すようになる。そのpH(水素イオン濃度)が、5.6以下の場合を酸性雨と呼んでいる。したがって、酸性雨の問題は、大気汚染の問題と密接に関連している。当初は局所的な問題であったが、ドイツの汚染物質がスウェーデンの湖沼や森林に影響を与えるというような、汚染物質が国境を越えて輸送される広域の環境問題として認識されるにいたった。経済成長が著しい東アジアでも巨大都市の大気汚染や越境大気汚染問題が緊急の課題となっており、酸性雨観測のモニタリングネットワークの構築などの研究協力が進んでいる。降水以外にも、汚染物質が沈着する乾性沈着という現象も重要である。