2003年7月31日、ワシントンで開かれた地球観測に関する政府間の会議、第1回地球観測サミット(Earth Observation Summit)、04年4月の東京での第2回会議、05年2月のブリュッセルでの第3回会議を通して決められた地球観測に関する10年計画。地球観測の重要性は、京都議定書の中でも強調されているが、現実の経済不況の中で劣化しているのが実情であり、これを打破しようとする動きの一つ。ただ、既存の観測システム(たとえば、WMOによる気象観測システムなど)との摩擦があり、また、データの有料化をめぐる米欧の確執などがあり、system of systemsという英文の表記でも分かるように、既存のシステムの空白域を埋めることや社会への還元を強調することにより妥協が図られた。その中では、(1)災害による人命及び財産の損失の軽減、(2)人の健康と福祉に影響を与える環境要因の理解、(3)エネルギー資源管理の改善、(4)気候変動の理解、評価、予測、緩和及び適応、(5)水循環の理解を通じた水資源管理の改善、(6)気象情報、予測及び警報の向上、(7)陸域、沿岸及び海洋生態の管理並びに保全の向上、(8)持続可能な農業及び砂漠化対策の支援、(9)生物多様性の理解、監視、保全の九つの重要な領域が挙げられている。これを受けて、日本でも、地球観測システム構築プランの推進やデータ統合・解析システムの開発が行われている。