ADEOS-2の運用停止の後を受けて、日本が開発しようとしている地球観測衛星。2008年から京都議定書の第一約束期間がスタートし、各国レベルで、二酸化炭素の吸収・排出をモニターする必要がある。そのため、地上にタワーを建てたりして二酸化炭素フラックス(流束)の観測が続けられているが、世界全体をカバーするには不十分である。そこで、地上データの不足を補うものとして、人工衛星により1%の精度で大気中の二酸化炭素量を観測するミッションが計画され、開発が行われている。ADEOSに搭載されたフーリエ干渉計を用いる手法を採用し、0.76、1.6、2.0μmの近赤外の波長と、5.5~14.3μmの熱赤外の波長帯を使う予定である。さらに、大気中の雲・エアロゾルの存在が測定精度の鍵を握っているので、雲エアロゾルセンサーも搭載する予定である。これらの衛星データ及び地上のデータを組み合わせて、亜大陸規模での炭素循環を解明することを目標としている。幾多の困難が予想されるが、世界で初めての、大変に意欲的なミッションである。