地球温暖化を引き起こす大気中の二酸化炭素は、人間活動起源の物ばかりではなく、自然起源の物も存在する。たとえば、二酸化炭素は植物の光合成により大気中から取り込まれ、呼吸や腐敗・分解のプロセスを通して大気へ排出されるというように循環している(これを炭素循環と呼ぶ)。このようなプロセスは、生物活動と密接に結びついているので、炭素や窒素といった生命活動に不可欠な元素などの循環を総称して生物地球化学サイクルと呼んでいる。将来の大気中の温室効果気体の濃度レベルを推定するためには、このような自然の炭素循環、窒素循環などを理解しなければならない。そこで、従来の気候モデルの中に、生物地球化学サイクルを組み込んだモデルを地球システムモデルと呼んでいる。さらに長期の変動を考える場合には、固体地球内部の変動も関係してくるようになり、地球システムモデルは、さらに、拡張されることになる。