雲に物質を投入することにより雨や雪を降らせたり、降る雨や雪の量を増やすこと。雨や雪が降るには雲の中で氷晶(氷の結晶)が成長することが必須だが、雲の温度が0℃より低くても雲粒(水滴)のままでいて氷晶が少なく雨や雪がなかなか降らない雲もある。このような雲から雨や雪を降らせるために、雲に氷晶の核となるヨウ化銀の煙を入れたり粒子をまいたりして氷晶の発生をうながす方法がある。またドライアイスや液体炭酸を雲に散布して温度を下げ、雲粒を凍らせて氷晶にする方法もある。熱帯のように雲の中に氷晶ができないまま降る雨の場合には、吸湿性の塩(塩化ナトリウム)や水滴を雲の中に散布すると、それを核としてできた雲粒が周囲の水蒸気を集めて大きくなり、大きな雲粒が次々にほかの雲粒を捕捉して雨になるというメカニズムを利用する。これまで利根川上流や東京都の小河内ダム周辺などで人工降雨が行われている。冬型の気圧配置のときに雪を日本海に降らせて陸上の大雪を防いだり、北京オリンピック開会式の日には雨を会場の手前で降らせて晴天にしたりなど、雨や雪の降り方を抑制する試みもある。