高度とともに気温が高くなっている大気の層。対流圏では通常は上空にいくほど気温が低くなるが、それとは反対の現象なので逆転と呼ばれる。気象の分野では、単に逆転というときは気温の逆転を意味している。風が弱く晴れた夜には、地面が放射冷却で冷えると、地面に接している空気も下から冷やされて接地逆転が生じる。温暖前線や寒冷前線が上空に逆転層をもたらすこともある。また高気圧におおわれると、空気が暖まりながら下降してきて逆転層ができる。気温が逆転していると浮力とは反対に下向きの力が働き対流を抑制するので、地上付近の逆転層がふたになって霧が発生したり、汚染物質が拡散せずに深刻な大気汚染を引き起こしたりする。前線による逆転層付近では風が大きく変化し、雨などの降水を伴うので空気中の汚染物質が洗い流されることなどにより大気汚染はそれほど悪化しない。逆転層では大気の屈折率が変化するので音や光、電波が異常な伝わり方をすることがある。