北太平洋の亜熱帯域にほぼ定常的に存在する高気圧。最盛期の夏には日本付近から米国西岸沖まで広がる。太平洋高気圧の日本に近い部分を、必ずしも中心が小笠原諸島付近にあるわけではないが、小笠原高気圧と呼ぶこともある。台風は太平洋高気圧の縁辺部に沿って移動することが多く、台風の進路予報において太平洋高気圧の動向は重要である。また太平洋高気圧からは暖かく湿った空気が流れ込んだり、太平洋高気圧におおわれると晴れて気温の高い状態が続くので、梅雨に降る雨の量や暑い夏になるか冷夏になるかなど日本の天候を大きく左右するもととなる。日射の多い赤道付近の熱帯域で上昇した空気が亜熱帯に達すると下降に転じるという大気大循環のなかで形成される高気圧であり、暖かく乾燥した空気による背の高い高気圧である。亜熱帯では大陸に比べると海洋は低温になりやすいので、北大西洋にはアゾレス高気圧があり、南半球でも南太平洋や南大西洋、南インド洋にも同じような高気圧がみられる。