2000年以降、2014年にかけて全球平均の地上気温の上昇が止まったような観測データが得られた。この事実を引用して、「地球温暖化は終了したのではないか」とのマスコミなどの記事が世間の注目を集めた。研究者の間でも注目を集め、「温暖化の進行が停滞した」という意味合いで、この状態はハイエータスと呼ばれ、多くの研究結果が報告された。しかし、人工衛星による観測によれば、この間も地球に入る正味の太陽エネルギーはプラスであり、温暖化は継続していることが確認されている。そのため、気候システム内部のエネルギーの配分の問題が原因であると考えられている。ハイエータスの理由として多くの可能性が提示されたが、太平洋を中心とする海面水温の自然変動が重なって、見かけとしては温暖化の進行が停滞したように見えたとする説が有力である。実際、過去の温度の上昇の様子を見ても、単調に増加しているわけではなく、1960年代半ばから70年代半ばにかけてのように、10年規模の自然変動が重なっている。その後、2015年を契機に温度上昇に転じており、再度、温暖化が進行していくと思われている。