海洋研究開発機構が中心となって建造した深海掘削船。この船には従来の掘削船にはない二つの特徴がある。一つは石油掘削で使われているライザーシステムで、海底と掘削船とをパイプでつなぐ装置である。掘削はこのライザー管の中で行われる。掘削した切り屑は泥水によって船の上まで押し上げられるので、それを見れば現在どこの岩石を掘っているのかがわかるようになる。また、切り屑は孔には戻らないので、ビットが詰まることもなく回収率が今より高くなる。さらにドリルパイプは全長7000mあるので、地震発生体やモホロビチッチ不連続面と上部マントルに達するのは時間の問題であろう(→「IODP」)。もう一つがBOP(blow out prevention)と呼ばれる噴出防止装置である。これまでは石油の噴出する可能性のあるところは掘ることができなかったが、海洋汚染の心配をせずに掘削が可能になるので、研究できる海域の範囲が大きく広がることになる。