統合国際深海掘削計画。ODP(Ocean Drilling Program : 国際深海掘削計画)に続き、2003年10月にスタートした。日米主導の新たなる国際協力計画として、「ちきゅう」と、アメリカが準備している2隻の掘削船を中心にした、研究プログラムである。主なテーマを以下に示す。(1)地震発生体の研究。地殻の下にある地震発生体まで直接アクセスできなかったが、南海トラフでは、届く範囲にある。コア(試料)をとるだけではなく、孔内を使った長期的な観測も含め、地震発生体に起こる出来事を直接観察する計画されている。(2)地下生物圏の研究。コア中にバクテリアの存在が知られており、地下生物圏の実体や生命史の中での位置づけ、有用微生物の発見と応用などが行われる。(3)深海底堆積物の研究。深海底の環境の変遷を精度良く研究する。白亜紀・第三紀境界(K/T境界)のような地球環境に大きな影響を与えた地球外天体の衝突の研究が行われる。(4)地球内部変動の研究。伊豆・小笠原マリアナ弧のような海洋性の未成熟島弧で物質循環を解明する。ここでは沈み込み帯に持ち込まれた物質がどのようにリサイクルしてマグマや火山、そして大陸地殻を形成していくのかを研究する。さらにオントンジャワ海台のような地質学的に短時間に大量のマグマを生じるプルームのコア・マントル境界で起こる出来事の研究を行う。