マンガンクラスト(→「マンガン団塊」)のうちで特にコバルトに富むもの。これは大洋中の島や海底火山の水深800~2000m程度の斜面に、数mmから10cm程度の厚さで枝状の外皮(クラスト)で覆われているものである。ドイツの調査船「ゾンネ」やアメリカの調査船「リー」は太平洋の中央海山群やライン、ネッカー、マーシャル諸島の近辺の海山の研究からこの地域にコバルトリッチクラストが多く産出することを見いだした。こうしたクラストは、海水中の成分が沈着してできた自生鉱物で、平均してコバルト0.9%、ニッケル0.5%、マンガン25%程度を含む。日本の排他的経済水域の東を区切る南鳥島には厚いコバルトリッチクラストの存在が知られている。コバルトリッチクラストは火山活動の活発である海山の頂上や斜面の平坦面に厚く生成しているため海底火山活動や酸素極小層の存在と密接に関係している。