深海の定義は学問分野により異なる。海水は光を通しにくいので、生物学では光が届かなくなって植物プランクトンの光合成が難しくなる水深200m以深をいう。海底地球科学の分野では、一般的に海洋プレートの存在する深さを指す。海洋物理学分野では、浅海(約0~1000m)、中層(約1000~3000m)、深層(約3000m以深)と区分するので、深海は約3000m以深を指すのが一般的である。表層の生物と深海の生物とでは、生息条件が大いに異なる。表層では生物の食物連鎖(食物網)は、第一次生産物である植物プランクトンから動物プランクトンなど、大型の生物へと波及する。深海では全く光が届かないので、表層からもたらされた生物の死骸やふんなどがマリンスノーとして落下したものが餌となる。一方、地中からもたらされる化学物質であるメタンや硫化水素などを栄養とするバクテリアと共生することによって食物連鎖を作る化学合成生物群集(→「化学合成生態系」)もある。