2009年10月、海洋研究開発機構の「しんかい6500」によって世界で初めて発見された、硫化鉄の鱗をまとわない全く新しいタイプのスケーリーフット。インド洋の「かいれい熱水フィールド」から700km以上離れた「ソリティア熱水フィールド」に生息していた。スケーリーフットは、その「硫化鉄の鱗をまとう」という他に類を見ない性質が、多くの分野の研究者の注目を集めてきた。硫化鉄をまとわない白い鱗を持つスケーリーフットが発見され、今後両者の比較研究を行うことが可能となる。謎に包まれたスケーリーフットの進化と生理・生態の解明が大きく進展するものと期待される。硫化鉄の鱗を形成する目的と仕組みの解明、スケーリーフットの進化や生理・生態も明らかにできるようになる。また、硫化鉄の鱗を形成する仕組みは、材料科学分野でも注目されつつあり、将来的には産業への応用の可能性も期待される。