鹿児島湾は桜島を中央火口丘とするカルデラで、姶良カルデラ(あいらカルデラ)と呼ばれている。九州には北から阿蘇、姶良、阿多、そして鬼界の4つの巨大なカルデラがあり、鹿児島県にはこれらのうちの2つが存在する。鹿児島湾、すなわち姶良カルデラの中にはそれよりかなり規模の小さい、水深が200メートルにもなる若尊子(わかみこ)カルデラがある。ここには「たぎり」と呼ばれるガスの噴出が知られていた。また桜島の噴火と鹿児島湾の水の中の水銀の量の関係が指摘されてきた。1990年代になって若尊子カルデラから化学合成生物群集の一つであるサツマハオリムシが発見された。2010年には、このカルデラから噴出する熱水に伴って金属硫化物が発見され、その金属硫化物の中には東北日本にあった黒鉱鉱床とよく似た成分の一つであるアンチモンを大量に含む鉱石が発見された。鹿児島湾は熱水鉱床の多い沖縄トラフの延長にあり熱水や化学合成生物群集の宝庫として注目を集めている。