熱水噴出域にある熱水を噴き出す孔のこと。周辺の海水の温度よりも高い温度の水が湧き出している海底の地域を熱水噴出域と呼ぶ。熱水噴出域には、とがった煙突状のものからいろいろな色の煙のように見える熱水を噴き出している構築物があり、それが熱水噴出孔である。温度の高い真っ黒な熱水を噴き出すブラックスモーカー、それよりは温度の低い白い熱水を噴き出すホワイトスモーカー、透明な熱水を噴き出すクリアスモーカーなどがある。熱水の温度は約300~405℃、200~300℃などである。スモーカーの色の違いは、そこに含まれる物質が細かい金属の硫化物から成るものと、それらを含まないガスの状態で出てくるものとの違いである。熱水噴出孔は多くの場合、チムニーとよばれる金属の硫化物で塗り固められた煙突から成る。チムニーは野球のピッチャーマウンドのような高まりの上に林立している。チムニーもマウンドも銅、鉛、亜鉛、金、銀などの有用な金属硫化物が堆積してできている。チムニーは大きなものでは高さ数10メートルに達し、ゴジラチムニーやモスラチムニーなどとよばれている。日本では沖縄トラフの伊平屋北や鳩間海丘などに巨大なものがあることが知られている。