メタンの包接水和物で、一般的にガスの水和物をガスハイドレートと呼んでいる。メタンハイドレートは、水分子でできたかごの中にメタンの分子が入った骨格をしている。固体が燃えてガスになると、体積は168倍に膨れるために大きなエネルギーが得られるが、温暖化ガス(温室効果ガス)として二酸化炭素とともに大きな値をとる。メタンハイドレートの安定領域は、温度・圧力条件によって決まるが、その場所の地温勾配にも大きく左右される。メタンハイドレートは堆積物の多い海域、堆積物が大量にたまる沈み込み帯や北アメリカ東海岸のブレークリッジなどコンチネンタルライズ(堆積物によって作られた大陸斜面と深海底の間の斜面)にも分布する。ロシアの陸上のツンドラ地帯にも見られる。日本列島周辺海域では南海トラフや日本海溝、日本海東縁などに見られる。近年、日本海の上越地域に大規模なメタンハイドレートが発見されている。メタンハイドレートが気化した際には、海底では大きな斜面崩壊が起こっている。北海では巨大な斜面崩壊が起こり、その原因がメタンハイドレートであるとされている。気候変動による海面の上昇や下降によって圧力の増減が起こり、このような斜面崩壊が起こることも知られている。