相模湾の真ん中にある水深の一番大きな部分。トラフとは舟状海盆のことであり、海溝と同じである。相模トラフはフィリピン海プレートと北米プレートとの境界をなしていて、フィリピン海プレートの一部がここで沈み込んだり横ずれを起こしたりしている。相模トラフは陸上の酒匂川から、相模湾の中を通り抜け、大島から東へ房総半島の南を通り、ここから鴨川海底谷と合流し、南東方向へ下って、日本列島周辺で最も深い場所の一つである水深9200 メートルの坂東深海盆までつながる。ここでは日本海溝、伊豆・小笠原海溝と交わって海溝三重点を形成している。相模トラフは沈み込むフィリピン海プレートと、太平洋プレートとの関係で巨大地震を発生させている。1923年9月1日に発生した関東大地震は相模湾が震源である。また小田原地震も相模トラフの延長線で73年ごとに起こってきた。相模トラフの底には4000 メートルにも及ぶ厚い堆積物がたまっていることが音波探査でわかっている。この堆積物はほとんどが陸上の丹沢山地の侵食により、河川によって運ばれた陸源堆積物である。相模トラフは南から移動してきたフィリピン海プレートに乗る伊豆半島が本州に衝突した結果60万~100万年前に形成された。