海水が凍結し海に氷が張ることをいう。北西太平洋のグリーンランドの周辺の海域では冬に水温が下がって-1.8℃くらいになると海洋の表面に氷が張る。海氷は多くは北極海と南極周辺の海域で形成されるが、南極では季節的で、夏は少なく、冬は大きく拡大して南極全体を覆う。北極は周りが陸で囲まれているために季節的な変化は少ない。海が凍り始めると、最初は小さな晶氷ができ、それらが集まって粘性が増すと、どろどろしたグリースアイスになる。さらに成長すると直径数メートルくらいの蓮の葉氷ができる。このような海氷ができると、海の循環が大きく変わる。氷には塩分が含まれないため、結氷した海域の海水はより塩分が濃くなり、重たくて沈んでいく。これが熱塩循環の引き金である。また海洋の表面が氷で覆われるとアルベド(反射能)があがり、太陽光は反射されてその熱が海水中に伝わらなくなるため、さらに温度が下がる。海氷は海水の温度のバランスをつかさどるために気候変動にとっては重要である。22億年前や7億年前の地球には、海洋の表面がほとんど氷で覆われたスノーボールアースという現象が起こった。先カンブリア時代に起こったスノーボールアースは、最初は海氷の形成から始まっている。