強い重力のため光さえ脱出できない天体。太陽質量の10倍程度以上の星が進化の最終段階で超新星爆発を起こすと、重力崩壊(重力の平衡が破れ、天体自身の重力によって急に収縮すること)してブラックホールになることがある。また、銀河の中心核や球状星団の中心部に巨大ブラックホールが存在する場合がある。ブラックホールは、(1)周囲の物質が落下する際のX線などの放射、(2)物質の吸い込み、(3)重力波源、(4)重力レンズといった宇宙現象を引き起こす。はくちょう座X-1のような恒星の最終段階としてのブラックホールの他、銀河系中心やりょうけん座のM106、おとめ座のM87など多くの銀河の中心部分に太陽質量の数百万倍以上の質量をもつ超巨大ブラックホールの存在が確認されている。2008年4月、スペインのカラ・アルト天文台の発表によれば、かに座にある銀河の中心にはOJ287と呼ばれる太陽質量の180億倍もの超巨大ブラックホールがあり、その周りを小さなブラックホールが回転していて、その軌道はだんだん小さくなっているという。その縮小のエネルギーは重力波に転化しているのではないかと考えられている。また、ブラックホールから激しく噴き出すジェットについて、10年10月、京都大学のグループが、磁場の力で細くしぼられ、光の圧力で加速される新しいシミュレーション結果としてハイブリッド・ブラックホールジェットを提唱し、注目を集めた。