宇宙からのX線を観測し研究する分野。X線観測は1960年代に始まり、X線星(中性子星やブラックホールを伴星にもつ近接連星)、超新星残骸、クエーサー、銀河団中の高温ガスなどが特にX線を強く放射することがわかった。X線は100万度以上の高温状態あるいはシンクロトロン放射などで生成される。X線源の多くは強度変化を示し、中でも爆発的にX線が増加するものはX線バースターと呼ばれている。これは中性子星表面での爆発、中性子星やブラックホール周辺の降着円盤の不安定性などに起因すると考えられている。ブラックホールの発見はX線観測の大きな成果であった。1999年に打ち上げられたNASAのチャンドラX線天文台は、2012年7月に運用停止となり、16年1月現在、ヨーロッパのXMM‐ニュートン(1999年打ち上げ)と、日本のすざく衛星(2005年打ち上げ)、そして09年8月に宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」にとりつけられた全天X線監視装置「MAXI」が稼動中である。16年2月にはすざく衛星の後継機アストロHが打ち上げられ、ひとみと命名された。