天体からの重力波を観測し研究する分野。重力波は天体の重力崩壊や中性子星どうしの連星の合体、超新星爆発などの宇宙現象によって発生すると考えられる。日本では、国立天文台のTAMA300の建設が1995年から始まり、一辺300mのL字型レーザー干渉計を基本とする装置で重力波の検出に挑んできた。これを発展させた計画が、東京大学宇宙線研究所による長さ3kmの重力波大型低温望遠鏡(LCGT、愛称「KAGURA(かぐら)」)で、岐阜県飛騨市神岡町の神岡鉱山内への設置工事が2012年1月に始まった。15年度中に試験観測を始め、17年度中には本格観測に移りたいとしている。年に数回の重力波現象をとらえることを目指している。ほかに長さ4kmのレーザー干渉計をもつアメリカのLIGO計画、フランス・イタリア共同のVIRGO計画、ドイツ・イギリス共同のGEO600計画などがある。また、宇宙空間に長基線長をもつ宇宙重力波望遠鏡システムが検討されており、15年12月にその最初の試みであるLISAパスファインダーがヨーロッパ宇宙機構(ESA)により打ち上げられた。そうした中で、16年2月、LIGO-VIRGOグループから、LIGOの2装置により2つのブラックホールの合体によって生じたと考えられる重力波の検出に成功したという発表が行われた。これまでパルサーの周期変化から間接的に重力波放出をとらえたといった例はあったが、直接検出は初めてであり、学界に大きな衝撃が走った。
(→「アインシュタイン@ホーム」)。