天球上における天体の位置、距離(年周視差)、固有運動を測定し、天体の空間情報を得ることを目的とする天文学の最も基本的な研究分野。最近では、視線速度を加えた6次元の情報から、星団や銀河系の構造をはじめ、星の物理、星の形成、超新星の物理、宇宙論などに至る幅広い研究に応用されている。地上観測では大気の影響で限界があることから、1989年のヒッパルコス衛星を皮切りに、位置天文学は宇宙空間の時代に入った。国立天文台ではヒッパルコス衛星に続く計画として赤外線で数億個の星の位置、距離、固有運動を高精度で測定するJASMINE(Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration)計画を推進しており、16年以降の早い時期に最初の試みとして口径5cmの望遠鏡を備えたNano-JASMINE衛星の21年度打ち上げる予定。さらに口径30cmのSmall-JASMINE衛星の21年度打ち上げを目指しているが、本格的なJASMINE衛星(口径80cmを予定)の打ち上げはさらに将来になる見込み。JASMINEはヒッパルコス衛星の100倍の精度で測定することを目標とし、その分解能は月面上の1円玉程度の物体が識別できる程度という。ESA(ヨーロッパ宇宙機構)は、13年12月19日、ヒッパルコス衛星の後継機ガイア望遠鏡を打ち上げた。初期の観測データを16年夏に公開する予定。