特に金星大気に見られる大循環のこと。金星表面が243日で自転しているのに対し、大気上層は約4日間で1周している。スーパーローテーションは、金星大気全面で自転方向と反対に一方的に吹く風で、その速度は秒速100mほどで(赤道から緯度50度あたりまで。それより高緯度では速度は低下する)、地面に近づくほど遅くなる。地球の偏西風などでは自転速度の10~20%の速度になっているのに対し、スーパーローテーションの速度は金星自転の60倍に相当する。このような大循環が生じる原因については分かっていない。金星大気は高度60~70kmまで対流圏が延び、界面は硫酸を含んだ雲となっていて(温度はマイナス100℃ほど)、これが秒速100mほどで流れるスーパーローテーションとして観測されている。また、対流圏には、赤道で暖められた大気が高緯度へ流れていくハドレー循環(地球にも見られる)や極を巡る渦状構造がある。