1969年に旧ソ連のクリム・チュリュモフ(Klim Churyumov)とスベトラナ・ゲラシメンコ(Svetlana Gerasimenko)が発見した短周期彗星で、公転周期は約6.6年。正式名称は67P/Churyumov-Gerasimenko、すなわち67番目に確定した周期彗星。ESA(ヨーロッパ宇宙機構)は、この彗星に探査機ロゼッタ(Rosetta)を接近させ、ランデブー飛行を行った。ESAは2014年11月にはロゼッタから切り離した着陸機フィラエ(Philae)を表面に着陸させ、彗星へのソフトランディングとして史上初の試みを成功させた。ロゼッタが打ち上げられたのは04年3月で、その後、当時、火星軌道よりも外側にいるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に近づくのに約10年を要している。ロゼッタが撮影したこの彗星の形は、二つの彗星が結合したと思われるアヒルのおもちゃのような形をしており、フィラエはそのおでこの部分に着陸した。その後、15年8月13日に彗星が近日点通過した前後には、太陽に熱せられ彗星表面からジェット状に内部の物質が噴き出す様子が並走するロゼッタから撮影されるなど、彗星の物理についてロゼッタミッションは多くのことを明らかにした。