ピアとは「専門仲間」という意味であり、科学研究の業績評価が、同じ専門の仲間によって行われることを指す。同僚評価と訳されることもある。専門化の著しい現代の科学研究では、業績の評価は、同じ専門の人にしか実質上できないというのがピア・レビューの根拠である。他方、科学者の共同体の自立性を確保するために、外部者には評価権を渡さないという理由もある。ピア・レビューの実例は、論文の審査制度(レフェリー制度)や褒賞の選考などである。それ以外にも、研究費申請時の審査やプロジェクトの事前、中間、事後評価などがある。競争的資金による近年のプロジェクト研究では、その使命は科学者共同体に内発するものではなく、むしろ外部で設定されることが増えた。このような場合でも、研究内容の良し悪しの評価はピア・レビューで行われることが多い。だが、使命が達成されたかの判断は、もはや研究に携わる「同僚」ではなく、使命を設定した側で行われるべきだという批判がある。ピア・レビューの拡張の考えである。ピア・レビューについては、内輪のなれ合いになりかねないという欠点も指摘される。近年では、ピア・レビューに費やす時間自体が、研究者の研究の障害になるという問題も出てきた。