関数が波動のような周期関数のときは、三角関数を用いた近似式がよく使われる。それがフーリエ級数である。
周期関数については、
(1)f(x)が周期2πの周期関数で偶関数の場合、f(x)は次のようにcosの級数で表される。
その係数は次の計算で得られる。
(2)f(x)が周期2πの周期関数で奇関数の場合、f(x)はsinの級数となる。
その係数は次の計算式で求められる。
一般の周期関数f(x)については、
として、偶関数部分と奇関数部分に分けることができ、x=pt(pは定数)と置き換えることで周期もまた変えられる。
フーリエ級数の著しい応用例として、声紋(sound spectrogram)がある。音は空気の波であるから、周期関数になっている。この波形を分析することによって、パソコンなどの音声入力も可能になった。また、声紋の違いから発声者を特定できれば、声紋鑑定が有効になる一方、セキュリティーチェックへの応用も考えられている。ただし、この鑑定法は、まだ完全に確立しているとは言い難く、正反対の鑑定が出されるなどして、冤罪(えんざい)が争われたこともある。
さらに、声の分析の技術は、動物の感情の分析にも使われている。動物の様子を観察して、その鳴き声の声紋とそのときの状態を対応させることによって、動物の感情を声紋で見分けることが可能となるという。この考え方から、2002年、玩具メーカーのタカラ(現・タカラトミー)は日本音響研究所などとともに、推測される犬の感情を話し言葉でディスプレーに表現する犬語翻訳機「バウリンガル(Bow-Lingual)」を開発・販売し、話題となった。09年には、さらに大幅な高機能化を果たした「バウリンガルボイス(Bowlingual voice)」が登場している。