カンニングに手を焼いた先生が、テスト時間に「答案用紙の配布が終わったら、この部屋にいるものは、きちんと着席し、発言しないこと。また、合図を送ってもいけない」と言った。答案用紙の配布が終わる寸前に、生徒の一人が、「この部屋にいるものには先生も入りますね」と質問した。ここで、先生がついうっかり「それはそうだ」と言ってしまうと、大変なことになる。なぜなら、「終わり!」の発言も、それを黒板に書くこともできなくなってしまうからである。
この設定はよくあるパラドックスだが、誰もその矛盾に気づかず、それゆえに、うまくやり過ごしているという不思議なものである。このテストの時間を終わらせる方法は、遅くまで帰ってこない生徒を探して父兄が教室に来たときか、学校の同僚が調べにきたときである。しかし、言うことを聞かない最近の生徒には、無縁のパラドックスかもしれない。