命題そのものに矛盾をもっている命題をパラドックス(逆理)という。しかし、パラドックスの存在は、数学自体の信頼を損ないかねない。だから、数学はパラドックスが存在しないように注意してきた。そのため、むしろパラドックスが数学を進歩させた側面もある。今、巷で「パラドックス」としてあげられているもののほとんどは、数学ではすでに解決されているものである。多くは、「定義の整備」、「公理の追加」、「理論の進歩」などによって解決されている。しかし、呼び名は以前の慣習に従って「~~のパラドックス」と呼ばれることが多い。また、数学以外の分野では、モンティ・ホールのパラドックスやシンプソンのパラドックスなどのように論理的に解決できるものの、直観と著しく異なった結論が出る場合も「パラドックス」といわれることがある。