通信の秘密を守るために使われる公開鍵暗号には、素数(1と自身以外に約数をもたない2以上の自然数)の組み合わせが使われるが、桁数が大きければ大きいほど暗号の安全性が保たれる。それゆえ、大きい桁の素数を探すのは、重要な整数論の仕事である。ユークリッドの「原論」での「素数の個数が無限個」の証明にならって、見つかっている素数を次々にかけて最後に1を加える方法がすぐに思い浮かぶ。たとえば、n個の素数がわかっていて、それをp1,p2,p3,……,pnとするとき、
(p1×p2×p3×……×pn)+1
を考えるのである。
しかし、
(1×3×5×7×11×13)+1=30031
=59×509
は13より上の素数59で割ることができるから、素数ではなく、万全とはいえない。