二次方程式の解の公式はご存じだろう。三次、四次の方程式にも解の公式が出され、数学者の関心は五次方程式の解の公式の作成に移った。しかし、ノルウェーのN.アーベルは1826年の論文で「五次方程式の解の公式は存在しない」と述べた。このとき、実に24歳だった。さらに、フランスのE.ガロアは方程式の解の公式が存在するための条件を、方程式の解の置換群(permutation group 並び替え全体からなる群)の条件で記述するガロアの理論を作った。こうして、群の概念が初めて有効に使われた。このとき、ガロアは18歳。二人の若い数学者が現代代数学を切り開いたといえる。しかし、当時の大御所のA.L.コーシーなどはこの意義を理解できず、論文紛失などの失態をしている。二人ともこの逆境の中で夭折した。このエピソードは教育を考えるうえで大きな示唆に富む。