二つの整数(1,2,3……という自然数と、自然数に「-」を付けて「0」を含めたもの)の和は整数になり、どの整数に0を加えても値は変わらない。また、整数aに-aを加えると、0になる。0以外の有理数(2/3のように「整数/整数」で表せる数)と掛け算に関しても、同様のことが成り立つ。つまり、二つの有理数を掛けると有理数で、どの有理数に1を掛けても値は変わらない。また、有理数aに有理数1/aを掛けると1になる。この構造は他にもあり、統一的な分析が有効である。これが群の概念であり、ガロアの理論(Galois theory 方程式の解の公式を得るための条件を、解の集合に作用する群の条件に置き換える理論)で効果的に使われることになる。
集合Gのどの二つの要素a、bに対しても、Gの要素「a・b(a×bやa+bなどの意味)」が決まり、次の三条件を満たすときGを群という。
たとえば、
(1)(a・b)・c=a・(b・c)が成り立てば、これを結合法則(associative law)という。
また、
(2)Gの中に特別な要素eがあって、Gのすべての要素aに対して、
e・a=a・e=a
となるとき、このeを単位元(unit element)といい、上記の例では、足し算に関しての単位元は0、掛け算に関しての単位元は1となる。
(3)Gのすべての要素bに対して、
b・c=c・b=e
となるcがあるとき、このcを「b-1」と書き、bの逆元(inverse element)という。このとき、足し算に関してbの逆元は-b、掛け算に関してbの逆元は「1/b」となる。
体とは、「有理数全体」、「実数全体」、「複素数(虚数単位“i”を組み込んだ数)全体」などの抽象化である。つまり、集合の中で「+」と「×」の二つの群の算法が定義でき、分配法則などの条件を加えたものである。一方、環は「整数全体」の抽象化である。つまり、「×」に関しては群になるとは限らない。
群、環などは量子力学などにも欠かせない道具である。