空間をある限度以上に曲げると、その部分が必然的に特異点(singularity 時間・空間が定義できなくなる点)を含む構造に発展していく。この特異点が外部の観測者から見えない事象の地平線(event horizon)の面で囲まれている時空構造をブラックホールという。ブラックホールはエネルギーと同時に情報も吸収する。情報の喪失はエントロピーの増加を意味しており、ブラックホールはエントロピーによっても定量化される。ブラックホールの時空構造はホーキング放射(Hawking radiation)で蒸発することが理論的に示せるが、吸収された情報がこの放射で外に放出されるのかどうかが、量子情報理論との関連で論争になっている(→「重力のエントロピー力説」)。