ニュートン重力や一般相対論の重力は、エントロピー(状態変化が続く間生み出される不可逆な物理量→「不可逆過程」)が原因となる熱力学的な力であるとする説。2011年頃から活発に研究されているが、発端は1970年代に提起されたブラックホールのエントロピーにある。ゴムひもの弾性にみられる力は高分子のもつれに基づくエントロピーによることが知られているが、古典的な重力もこのようなエントロピー力によるものと考える説。この説も超ひも理論と同様に確定したものではないが、古典的重力に対するこの説の見方は、超ミクロの超ひも理論でみられる低エネルギー近似として古典重力があるという見解と鋭く対立する。重力を熱力学の法則で扱えるなら、その量子的ひもの場を考えることが不必要になる。
いわゆる四つの基本的力(重力、電磁力、強い力、弱い力)の中で、重力だけは古典重力しかなく、他の三つの力とは全く別物となる。加速する膨張宇宙の原因や大規模構造の重力について、従来の古典的な重力理論とは異なる理論となる可能性も指摘されており、ダークエネルギー、ダークマター(→「暗黒物質探索」)および原始重力波などの問題に対する影響も指摘されている。