1965年の宇宙マイクロ波背景放射(CMB ; cosmic microwave background radiation 宇宙から等方的にやってくるマイクロ波)の発見に続き、92年の人工衛星COBE(Cosmic Background Explorer)は絶対温度2.7K(ケルビン 0K=-273.15℃)の黒体放射(black-body radiation 物体が放射しているとき、その物体の温度のみに依存して波長ごとの明るさの分布をみせること)の方向分布に10万分の1程度のゆらぎを見いだした。また、その後の宇宙探査機WMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe 2003年より運用)とプランク宇宙望遠鏡(Planck Space Observatory 09年より運用)は詳細なゆらぎの地図を描いた。ビッグバン宇宙初期の高温高密の火の玉状態を見ているこのCMBには、初期宇宙の圧力による音波振動の情報が刻まれ、高周波部分は現在の天体構造形成の種となっている。低周波成分は宇宙モデルの選定に役立っているが、角度分布を球関数で分解した場合のl=2(四重極)、l=3(八重極)の成分が標準的な理論と合っていない。