宇宙起源の重力波(gravitational wave)を検出する装置で、はアメリカ東南部ルイジアナ州リビングストンと、西北部のワシントン州ハンフォードに敷設されている2台の巨大なマイケルソン型レーザー干渉計(Michelson interferometer)である。重力波源の方向を決めるためには3台以上が必要であり、イタリアにあるEUの重力波望遠鏡Virgo(ヴィルゴ ; ヴァーゴ)と連携している。さらに、インドがLIGOと同じ装置を建設中で、LIGO-Virgoネットワークに入る予定である。
同じ4kmの長さの管(腕)がL字状に延び、先端にはそれぞれ鏡が付いていて、装置の心臓部は二つの管の交わる建物の中にある。ここに20kWほどのレーザー発信機があり、その光が半透明鏡で二つの管に分けられ、それぞれ突端の鏡で反射してこの場所に戻ってくる。今、真上から重力波がやってきたとすると、一方の鏡までの距離は縮み、それと直角の他方の腕は伸びる。こうした腕の伸び縮みによって、二つの管で光が通過する距離に差ができ、合わせた光の波には位相差ができて、干渉の強弱、すなわち検出される光子数が変動する。この変動情報から長さの変動、ひいては重力波の強度や波形が算出される。初検出した重力波イベントGW150914での腕の長さの変化は4×10-9nm(ナノメートル:10億分の1m)である。
鏡までの距離が変動する原因には、地面の振動をはじめ多くのものがあり、防振装置で抑制する。また、シグナルである重力波とノイズである他の原因による変動の周波数帯にズレがあれば、周波数分解してノイズを避ける方法もある。LIGOとVirgo、約1万kmも離れた二つの地点にある装置で別々の原因で同時にノイズが発生する確率は少なく、二つの装置で観測した同時刻のイベントが決め手となる。2015年の重力波の検出例(→「重力波の直接検出」)では、ノイズの大きさはシグナルの約1000倍も大きかった。こうした膨大なノイズデータからシグナルを選び出す情報技術は、監視カメラの映像から目的の人物を同定するビッグデータ解析の技術と同種のものである。
L字型のマイケルソン型レーザー干渉計は、A.アインシュタインの特殊相対論の成立の論拠の一つであり、「マイケルソンがエーテル説を実験的に否定した」に端を発する。マイケルソンはエーテル(ether 宇宙を満たしていたと仮想されていた物質)流の方向に対して光の速度が違う効果を観測しようとしたが、これが特殊相対論の光速度一定の原理につながった。1880年代は腕の長さが数mだったが、原理は同じで、LIGOも4kmの二つの腕を往復する時間の差(マイケルソンの実験の場合は長さの変化ではなく光速度が違うことによる差)による位相変化を測る点は同じだが、光子数検出の技術の進歩で約1億倍も精度が増している。