2016年2月、アメリカの重力波観測装置LIGO(ライゴ)が重力波の直接観測に成功したと発表した。重力波を受けたのは、その5カ月程前の15年9月14日であり、A.アインシュタインが一般相対論を完成させた100年目の年であった。「直接検出」でない「間接検出」はすでに1974年に電波天文学者のR.ハルスとJ.テイラーが「PSR1913+16という連星中性子星の軌道周期の減少する割合」が重力波放出の予想と一致することを突き止め、93年にノーベル賞を受賞している。
LIGOの2箇所の装置はルイジアナ州リビングストンとワシントン州ハンフォードと、約3000km離れているが、2015年9月14日9時50分45秒(協定世界時)頃、同じ波形の変動が起こった。実際にはリビングストンの装置の方が約7ミリ秒早かったので、真上からではなく、すこし東南の方(リビングストンはハンフォードの東南)から重力波がやってきたことを教えている。この発見の論文の著者数は1000人に近い。LIGOグループは16年2月現在で1012人、国別の割合はパーセントでアメリカ53、イギリス13.1、ドイツ12.3、オーストラリア6.1、インド6.0、ロシア2.6、韓国1.3、スペイン1.2、ハンガリー1.1、イタリア1.0などである。1000人ものメンバーの大半はビッグデータの解析を行う人たちで、世界中に散らばっている。
LIGOは1990年代末に建設されて2002~10年にかけて稼働していたが、一度も重力波は検出できなかった。そこで、防振装置、位相安定のレーザー、光子リサイクリングなどの改良を加えた高度LIGO(aLIGO〈advanced LIGO〉)にアップグレードして、15年9月から連続観測に入った。16年末までに、上記のイベントGW150914(GWはgravitational wave、数字は日付)のほかにもう一つGW151226が確認されており、候補としてLVT151012(LIGO-VIRGO transient)一つが発見されている。頻度の予想はおおよそ2~400/Gpc3/年(1立方ギガパーセク=約2.94×1076m3の範囲で1年当たり2~400回)と推定される。