ある種の金属や合金に見られる、一定温度以下で電気抵抗がゼロになる現象。磁性を示さない金属の多くで見られ、低温における金属の一般的性質と考えられる。磁場中に置いた金属を超伝導状態にすると、その内部の磁場がゼロになるマイスナー効果(Meissner effect)が見られるが、磁場の強さが一定以上になると超伝導状態は壊れ、正常状態となる。超伝導発現の微視的機構は、1957年のJ.バーディーン(Bardeen)、L.N.クーパー(Cooper)、J.R.シュリーファー(Schrieffer)によるBCS理論(BCS theory)で明らかにされた。その理論によると、金属中の電子は格子振動に媒介されて互いに引き合い、これがクーロン反発力に打ち勝ってクーパー対(Cooper pair)という電子対を形成する。マクロな数のクーパー対がボーズ・アインシュタイン凝縮に似た協調した運動状態に引き込まれると、物質は超伝導を示す。