水素原子の電子のエネルギー状態は結合エネルギーが主量子数n2に逆比例する。これまではnが小さい、せいぜい一桁の低励起状態だけが扱われてきたが、nが100といった高励起状態を扱うことができるようになった。こうした高励起状態の一般の原子がリュードベリ原子と呼ばれる。高強度のレーザーパルスの照射で励起(外部からのエネルギーによってなしうるエネルギーの高い状態への移行)され、寿命がn3に比例して長いため、準安定にとどまる。マイクロ波キャビテー(共振器)内での量子重なり具合を外部から制御する量子技術の有力な手段となる。また、これまでの素粒子現象の検出は高エネルギーにフロンティアがあったが、アクシオン(axion 強い力でCP対称性の破れを抑えるとされる仮説粒子)や冷たい暗黒物質(CDM ; cold dark matter)などの検出は低エネルギー、弱作用がキーポイントになる。こうした検出技術の開発の観点からも、リュードベリ原子に関心が集まっている。