時空の量子論(quantum theory of space-time)は重力の量子論でもある。現象のエネルギーがプランクエネルギー(Planck energy 1019GeV〈ギガ電子ボルト Gは109=10億〉)に近づけば、プランク長さ(Planck length 10-33cm)での時空の構造が見えてくる。その構造は多重連結の複雑なトポロジーをもつ空間であると予想されている。多重連結空間とは多くの穴で結ばれた空間のことで、時空の場合にはこの穴をワームホール(worm hole)という。低エネルギーの現象ではその存在は気づかれず、時空は連続体と見なされる。これへのアプローチはアインシュタイン理論の量子化と、超ひも理論などの力の統一理論からのものとがある。前者はさらにトポロジーを固定し局所的な時空量を変数とした波動関数を議論するホイラー・ドウイット方程式(Wheeler-DeWitt equation)で論じる。後者ではすべてのトポロジーを考慮した総体を論じる。