相対論に登場する限界速度は光速(c 秒速約29万9792km)と呼ばれるが、これは光の速度の上限値と解した方がよく、現実には大気のような媒質の影響を受けて、限界速度以下である。こうした媒質中での光の速度を上回る超光速で運動する荷電粒子はチェレンコフ光(Cherenkov radiation 荷電粒子が水などの媒質の中を超高速で飛行する際に発生する光)を放射する。現在では電磁誘導透過(EIT ; electromagnetically induced transparency)という、機能媒質の吸収を抑えるレーザー技術により、大きな分散性を示す媒質を用意できる。こうした機能媒質の中で光のパルスパターンが移動する群速度を「超光速(super light velocity)」にしたり、ほとんど静止させたりする実験が実現している。これは波長により位相速度の違う波の重なりが起こす波形変動(wave form fluctuation)に起因する。2000年ごろ、レーザー実験で「超高速」のシグナルが発見されたと報告されたが、これは群速度のことであると解釈された。群速度と違って、発射した光のフロント(先端)が移動するフロント速度は限界速度を超えることはない。