半導体内の電子などの多体粒子系の集団的な振る舞いは、数学的には空間的に広まった場として記述される。この場の波動を量子力学で扱えば、振動状態のエネルギーが単位の量の整数倍となることから、粒子の創成とみなすことができ、これを準粒子という。これまでフォノン(phonon 音の量子)、ポーラロン(polaron 電子が結晶格子の変形を伴って運動する状態)、マグノン(magnon スピン方位の微小振動)などの準粒子は定着しているが、2012年、NTTなどの研究者が半導体の中に新たな場のタイプの準粒子を実現した。この場は、非アーベルゲージ場(non-Abelian gauge field)に対応し、散逸で消滅しにくい位相幾何的に異なった状態の形成が可能であり、将来の量子情報技術に使われる素子の可能性として期待されている。