ニュートリノ(neutrino)やミューオン(muon ミュー粒子とも)という素粒子は物質をよく貫通する性質をもつ。これらの性質を用いて、地球内部や火山の内部を探索しようとする新しい学問である。特にニュートリノ実験では、日本は世界の先端を走っており、また宇宙線ミューオンの観測でも長い歴史がある。こうした測定・観測技術を生かして地球科学の課題に挑戦しようとする新しい試みである。特にミューオンは、地球さえ貫通してしまうニュートリノと違って、数kmの地層の厚さで吸収されるから、X線透視のように断層写真が得られ、ミューオン断層写真術(ミューオグラフィー)と呼ばれている。火山の噴火口などの「透視」に威力を発揮することが期待されているが、横に走る宇宙線ミューオン流をミューオン源として利用する場合は、地形が適していなければならないなど条件が絞られる。