光エネルギーによって触媒作用を示すようになる触媒。二酸化チタン(TiO2)、硫化カドミウム(CdS)などの金属酸化物、金属硫化物が固体触媒(solid catalyst)として知られている。溶媒に溶ける均一触媒としてはRu錯体、Rh錯体がある。半導体のTiO2は可視光領域の400nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)の波長の光で励起され、白金電極と組み合わせると水を水素と酸素に分解することができるため、水素の製造にも利用できる。太陽光をより多く利用するためにTiO2よりも長波長の光で水を分解する光触媒の開発も進められている。TiO2に光が当たると周りの酸素は活性酸素(active oxygen)に変わる。この活性酸素の酸化力によって、大気中の有害物質のNOxやSOxを除去する試みもなされている。また、TiO2光触媒はさまざまな工夫とともに、汚染物質の分解、脱臭、抗菌、水の浄化などに利用されつつあり、最近、ナノサイズのTiO2を抗体に取り込み、がん治療に応用する試みもなされている。