閃光光分解の手法が化学に導入され、レーザーが用いられるようになって以来、化学反応の時間分解計測の時間分解能はますます精緻(せいち)になってきた。ナノ秒(nano-second 1ns=10-9秒=10億分の1秒)、ピコ秒(pico-second 1ps=10-12秒=1兆分の1秒)、フェムト秒(femto-second 1fs=10-15秒=1000兆分の1秒)と進んできた時間分解能の向上は、今やアト秒(1as=10-18秒=100京分の1秒)領域にまで到達しようとしている。1 asの間には、光ですら0.3Å(オングストローム 〈angstrom〉 1Å=10-10m=100億分の1m)しか進めない。単一の周波数で規則正しく発振する単一アト秒パルスが得られれば、分子内の超高速水素移動などの現象が、実時間で観測可能になろう。