純粋な物質を細かくしていったとき、その物質の性質をもつ最小の単位を分子という。ヘリウム(He)などの希ガスは原子そのものが分子であるが、二酸化炭素(CO2)やグルコース(C6H12O6)のようにいくつもの原子の共有結合(covalent bond)によってできているのが普通である。食塩はNa+(ナトリウムイオン)とCl-(塩化物イオン)とのイオン結合(ionic bond)でできていてNa+とCl-が交互に無限につながっており、NaCl分子は存在しない。フッ化水素(HF)分子はF原子がH原子よりも電子を引きつける力が強いために共有電子がF原子の方に偏り、H原子とF原子がわずかに正と負の電荷を帯びる(Hδ+-Fδ-)。このような分子は、分子間に生じる弱い静電気的な結合である、水素結合 (hydrogen bond)をつくる。分子間には水素結合のほかにファン・デル・ワールス力(van der Waals force)と呼ばれる分子間力が働いている。このような分子間力によって分子は凝集して液体や固体になる。