テラヘルツ波とは、振動数0.3~10THz(テラヘルツ Tは1012乗=1兆)、波長1mm~30μm(マイクロメートル μは10-6=100万分の1)の電磁波。さまざまな物質、例えば紙、プラスチック、ビニール、繊維、半導体、脂肪などを透過できるのは、電波と同様である。しかし、電波に比べて波長が短いので、分光法に用いた場合、より高い分解能が期待できるし、レンズや鏡に対しては光波のように振る舞う。しかも、近年さまざまな化合物に特有な吸収帯、いわゆる「指紋スペクトル」が0.5~2.5THzの範囲の領域に認められることが分かってきた。透過能と指紋スペクトルを示す能力を組み合わせれば、これまでにない新しい分光法となろう。化学工場などでの広い利用に不可欠な、安価で小型の光源の開発が実現すれば、広い用途が期待できる。