オワンクラゲの外縁発光部から単離された、分子量約2万7000の蛍光たんぱく質で、単独で発色団を形成する特徴をもつ。オワンクラゲの生体内では、イクオリン(aequorin)というたんぱく質と複合体を形成している。イクオリンは、細胞内のカルシウムを感知して発光するもので、単体では最大蛍光波長460nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)の青色であるが、オワンクラゲの発色細胞内では、緑色蛍光たんぱく質(GFP)がイクオリンからエネルギーを受け、最大蛍光波長508nmの緑色の蛍光を示す。生体から取り出したGFPは、紫外線もしくは青色光を照射するだけでも発光するため、基質の必要ないレポーター(reporter)、すなわち生体のさまざまな状態を発光の様子によって観察できる物質として有用であり、比較的分子量が小さく、安定なため、広い利用が可能である。2008年のノーベル化学賞(The Nobel Prize in Chemistry)が、GFPの発見と開発の功によって、下村脩ボストン大学医学校名誉教授、コロンビア大学のマーチン・チャルフィー教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校のロジャー・チャン教授に授与されたために一躍脚光をあびた。その下村による発見は1960年代にさかのぼり、バイオイメージングの一種である蛍光イメージング(fluorescence imaging)への利用は、90年代のチャルフィーとチャンの研究にさかのぼる。